ブログ運営にAIを取り入れていても、1つのAIで全部を回そうとすると、どこかで必ず引っかかる感覚がありました。企画も調査も本文も同じAIに頼んでいた頃は、同じ整理を何度も自分で挟む必要があって、AIを使っているはずなのに人間側の作業が減らない、というよくわからない状態になっていました。
最近、MMDの記事制作ワークフローを大きく見直しました。AIを「1人の万能担当」ではなく、工程ごとに役割で分担する形に組み直したところ、迷いと手戻りがはっきり減ったので、現時点でのMMDのAI活用フローを実例として整理しておきます。
抽象論ではなく、どのAIにどの工程を任せ、なぜそう分担しているのか、旧フローから何を変えて何が良くなったのかまで含めてまとめました。個人ブログ運営者の方が「自分ならどう組むか」を考えるときの素材になれば、と思っています。
今日からは始まるAIワークフロー連載全7回。火曜日21時公開予定です。
現在のMMDワークフロー(MMD WF2.1)全体像
MMDでは現在、記事制作を以下の8工程に分けて運用しています。
- 企画・壁打ち — ChatGPT
- 調査 — Perplexity
- 調査結果・企画情報の整理 — ChatGPT
- 1次情報の整理 — TKD(人間)
- 構成〜本文作成 — Claude Code
- セルフチェック — Claude Code
- 第三者レビュー — ChatGPT
- 最終チェック・公開判断 — TKD(人間)
並行して、ブログ運営そのものを支えるツール開発・自動化はCodexに任せています。記事制作の主導線とは別の流れですが、運営全体としては欠かせない位置づけです。
ポイントは、各工程に対して「主担当のAI」を1つだけ置いていることです。1つのAIに複数工程を兼任させない、という決めごとがあるだけで、受け渡しの曖昧さが大きく減りました。
各AIの担当工程と分担の理由
ここからはAIごとに、何を任せ、何を任せないのかを工程単位で整理します。ツール紹介ではなく、あくまで「役割」で見るのがポイントです。
企画と整理を任せるChatGPT(チャッピー)
ChatGPTには、企画の壁打ちと、調査結果・1次情報を次工程に渡せる形に整える役割を任せています。記事の方向性を相談したり、想定読者と価値を言語化したり、Perplexityが集めてきた情報をブログ用の粒度に整形するのが主な仕事です。最近はパープレ無料版の調査能力に疑問符がついてきたので、調査もさせたりしています。
ブログ全体の方針相談や、Claude Codeが書いた原稿の第三者レビューもChatGPTに任せています。「全体を俯瞰して整える役」と「読者目線で違和感を拾う役」を兼ねている感覚です。
逆に、本文制作の主担当はChatGPTには置いていません。ファイル単位で構成と本文を一気通貫で組み立てる作業は、後述するClaude Codeのほうが向いていると判断したためです。
調査を任せるPerplexity(パープレ)
Perplexityには、最新情報の確認・統計データの収集・参考資料の探索を任せています。レース日程や公式情報、制度変更の確認など、外部情報の一次収集はPerplexityが入口になります。
ただし、Perplexityの出力をそのまま記事化することはしません。調査結果はChatGPTで整形してから次工程に渡す、というルールを徹底しています。調査と整理を別工程に切ったのは、旧フローでここを混ぜていたことが詰まりの原因の1つだったからです(後述)。
なお、現在は前述のとおり無料版の限界を感じているため、ちょっと出番が減っていています。
構成と本文を任せるClaude Code(ちょこ)
Claude Codeには、記事の構成案作成から本文執筆、WordPress貼り付け用HTMLの出力までを一気通貫で任せています。MMDではClaude Codeを「ちょこ」と呼んでいて、編集部・記事制作担当という位置づけです。(アークザラッドが好きなんです。笑)
ファイルベースで企画書・1次情報・参照ルールを読み込み、長尺の本文をまとめて出力できるところがClaude Codeの強みです。文体ガイドやHTML出力フォーマットなどルールが多めの記事制作でも、毎回参照しながら書ける運用に向いています。
セルフチェックも同じClaude Codeで行います。「書いた本人がチェックする」のは本来は望ましくない構図ですが、その後にChatGPT側で第三者レビューが入るので、二段構えで品質を担保する設計にしています。
ツール開発を任せるCodex(コデス)
Codexは記事制作そのものではなく、ブログ運営を支える仕組み作りの担当です。記事一覧CSVから内部リンク候補を抽出するスクリプト、HTMLの簡易チェックツール、WordPress投稿補助、F1カレンダー関連の変換ツールなど、運営の手間を削るための開発を任せています。
ブログ運営は記事を書くだけで終わらない、というのが運用してみての実感です。記事一覧の更新、内部リンクの整備、表記の統一、公開前のフォーマットチェックなど、手で回すと時間を食う作業が地味に多くあります。ここをCodex側で道具にしておくと、記事制作の集中を切らさずに済みます。
記事本文の執筆や見出し構成にはCodexを使いません。文体に強く依存する作業はClaude Codeに寄せる、という線引きを明確にしています。
1次情報と最終判断を握るTKD(人間)
1次情報の整理と、最終的な公開判断は人間(TKD)が握っています。実際にサーキットで見た景色、ガジェットを使ってみて感じた手触り、家づくりで失敗した話、こうした体験はAIには書けません。AIに体験を創作させてしまうと、MMDが軸に置いている「実体験ベースの長期資産型コンテンツ」が崩れます。
そして、すべての工程を経た後の「これで公開してよいか」の判断も人間に残しています。AIの出力をそのまま公開しない、というのはMMDのワークフロー全体に通底するルールです。
旧フローはこんな形で、ここで詰まっていた
現行フローに変える前は、ChatGPTを中心に据えて、執筆はClaude(チャット)が担うという形でAIで完結させようとしていました。企画も調査整理も本文も、まずChatGPTに投げる、という流れです。これはこれで動いていたのですが、運用するうちに3つの引っかかりが出てきました。
当初は1AI(ChatGPT)に寄せすぎて精度が上がり切っていなかった
1つのAIに全部任せれば、コンテキストが連続するぶん楽になるはず、という発想で組んでいました。実際にはその逆で、企画相談と本文執筆と整形チェックが同じスレッド内に混ざることで、AI側が「今どの工程を手伝っているのか」を見失う場面が増えました。
長い本文を書いてもらう途中で「もう一度方針を整理しておきましょう」と巻き戻しが入ったり、企画の壁打ちをしているつもりが本文っぽい文章を返されたり、工程の境界が滲んでいくのが地味につらい部分でした。
調査結果を整形せず次工程に渡していた
Perplexityの調査結果を、整形せずにそのまま本文工程の入力にしていた時期がありました。一見、効率的に見えるのですが、調査出力には本文には不要な前置きや脱線が含まれていて、それを抱えたまま本文を書こうとすると、記事構成が情報の並び順に引っ張られてしまう感覚がありました。
「調査結果は整形してから渡す」という1工程を挟むだけで、本文側の見通しが大きく良くなりました。今振り返ると、ここを省いていたのは時短に見えて、後工程で取り返す手戻りのほうが大きかったと思います。
構成と本文の繋ぎ目で往復が発生していた
Claudeとの分業初期は、チャッピーと企画を考え、Claudeが構成を作り、チャッピーが構成をチェックし、Claudeが本文を書き、チャッピーが本文をチェックし…と人間の手で何度も何度も橋渡しをしていました。確かにタイピング量などは減りましたが、橋渡し作業とWordPressへの転記・修正がかなりの工数になっていました。
構成案を企画書として1次情報まで含めた決まった形で固めて、それをちょこに渡して構成から本文まで一気に執筆するというやり方に変えてから、繋ぎ目の往復はかなり減りました。構成と本文を同じAI(Claude Code)に通しで見させる設計にしたのは、明らかにこの課題への一つの正解だったと思っています。
フロー刷新で実感した効果
役割分担を明確にして運用してみて、はっきり変わったと感じる効果が4つあります。
「どのAIに頼むか」で迷わなくなった
工程とAIの対応が固定されたことで、「これはチャッピーに投げるやつ」「これはちょこの担当」という判断に時間を使わなくて済むようになりました。地味ですが、運営している側の意思決定コストとしては効きます。
1AI集約を狙っていた頃は、毎回「これは今のスレッドで聞いていい話なのか、別で立てるべきか」を考えていました。役割で割っておくと、その問いが消えます。
受け渡し用ファイルが整って手戻りが減った
現行フローでは、企画書(brief.md)・1次情報メモ・引き継ぎメモ(handoff.md)といった受け渡し用ファイルを工程ごとに用意しています。AI間・セッション間の文脈喪失を防ぐためのフォーマットが固まってきたことで、「前回どこまで決めたか」を毎回掘り起こす作業が減りました。
ファイルを介して渡すぶん、口頭の会話っぽいやり取りで進めていた頃より準備の手間は増えています。とはいえ、壁打ち結果をファイル化なども簡単にできますし、多少の時間をかけたとしても、後工程で取り戻す時間のほうが大きいことを実感します。
修正ポイントの責任分界が明確になった
「ここの言い回しが変」「ここのファクトが怪しい」と気づいたときに、どの工程に戻せばよいかが即座にわかるようになりました。文体ならClaude Code、事実確認ならPerplexity経由でChatGPT、企画レベルの再整理ならChatGPT、最終判断はTKD、という流れです。
1AIで全部やっていた頃は、修正の起点が同じスレッド内に閉じていたので、「直したいのに直しきれない」状態になりがちでした。工程を切ったことで、修正のループ自体が短くなった感覚があります。
最終判断の位置づけがはっきりして全体が安定した
「最終公開判断は人間」という線をワークフローの最後にきっちり置いたことで、その手前の工程をAIに任せても怖くなくなりました。AIの出力をそのまま出すわけではない、という前提が共有されているぶん、各工程で大胆に任せられます。
逆説的ですが、人間が最後の砦に座っているからこそ、AIに前段を委ねやすくなった、というのが運用してみての発見です。
それでもAIに任せない3つの工程
ここまで分担の話ばかりしてきましたが、現時点でAIに任せていない、あえて人間が握っている工程が3つあります。
実体験は人間が書く・人間が補完する
サーキットで見た光景、初めてキーボードを叩いたときの打鍵音の印象、家を建てるときに後悔したポイント、これらの1次情報はTKDが直接書きます。AIにそれらしく書かせることはしません。
Claude Codeで本文を書いてもらう際も、実体験パートが空になるセクションには「ここはTKDが後から補完する」というコメントを残しておく運用にしています。AI側に補完させるとMMDの軸が崩れるので、ここは譲っていない部分です。
重要な事実は複数の信頼できる情報源で確認する
数値・日付・料金・公式発表・法規・製品仕様など、間違うと記事の信頼性に直結する情報は、AI出力だけで確定させません。Perplexityで一次収集した内容も、必ず公式サイトや一次資料に当たり直してから本文に反映します。
AIは事実を「それらしく」書くのが得意なので、ここを油断するとそのまま流れてしまいます。AI活用フローを組むうえで、「ファクトチェックは人間の工程」と明示的に位置づけたのは大きい部分です。
最終公開判断は編集長が担う
セルフチェックも第三者レビューも通った原稿に対して、最終的に「これで公開する」と判断するのは編集長(TKD)です。AIには判断責任を持たせない、という設計を崩していません。
判断基準は記事ごとに変わります。読者にとって価値があるか、MMDの方針に沿っているか、誤解を生みそうな表現が残っていないか、こうした問いはAIの整合性チェックでは拾いきれない領域だと考えています。
現時点の”最善解”として、改善前提で運用する
ここまで紹介したフローは、MMDの「正解」ではなく「現時点の運用」です。記事タイプによって最適な分担は微妙に変わりますし、各AIの仕様変更や新しいツールの登場でも構成は揺れます。
それでも、1つのAIで全部回すより、役割で分担したほうが楽だった、という実感は確かにあります。同じように「AIをブログ運営に取り入れたいけれど、どこから組めばいいかわからない」という方が、自分の運用に合わせて分解するときの素材になれば嬉しいです。
本記事ではあくまで実務フローを中心に整理しましたが、なぜこの分担にしているのか、その背景にある考え方は別記事で深掘りする予定です。設計思想編として続編を準備しているので、合わせて読んでもらえると、AIをどう運用に組み込むかのヒントになるはずです。
過去にChatGPTをブログ執筆にどう組み込んでいたかは、こちらの記事でも触れています。旧フロー時代の運用イメージとして合わせて読んでもらえると、変化の度合いが伝わるはずです。


ブログ運営AIワークフロー(MMD WF2.1)リンク(全7回)
第1回:2026/5/12(Tue) 21:00公開
https://midorinomomendofu.com/digital-world/ai-software/ai-workflow-overview/
第2回:2026/5/19(Tue) 21:00公開

第3回:2026/5/26(Tue) 21:00公開

第4回:2026/6/2(Tue) 21:00公開

第5回:2026/6/9(Tue) 21:00公開

第6回:2026/6/16(Tue) 21:00公開

第7回:2026/6/23(Tue) 21:00公開




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