富士スピードウェイへ車で向かおうとして、ルート検索画面で東名と中央のどちらを選ぶか毎回迷う、という方は多いのではないでしょうか。北関東から富士遠征に通っている筆者も、出発前夜のナビ画面と当日の交通情報の両方で、毎回同じ判断をやり直しています。距離だけ見れば近いほうを選べばよさそうなのに、実際にはそう単純にいかないのが東名と中央の難しいところです。
この記事は「東名と中央のどちらが速いか」を結論づける記事ではなく、自分の出発地・時間帯・重視点に合わせてルートを選ぶための判断基準を整理する記事です。所要時間ランキングではなく、毎回の遠征で使い回せる軸を持って帰っていただくのが目的です。
まず結論:富士遠征の東名と中央は「条件で選ぶ」が答え
先に結論を書いてしまうと、富士スピードウェイ遠征における東名と中央の選択に「常に正解のルート」は存在しません。出発地と時間帯と当日の交通状況、そして自分が何を重視するかで答えが入れ替わります。
具体的には、次の3点が判断軸になります。
- 渋滞のしやすさ(時間帯・曜日・イベントの有無)
- 事故・通行止めが起きたときの逃げやすさ
- 運転中の精神的な疲れにくさ・当日の判断のしやすさ
これらを毎回機械的に当てはめるのではなく、その日の自分の状態と相談しながら決める。これが筆者の基本姿勢です。最短時間を狙いに行くと、トラブルが起きたときに一気に詰みます。富士は決勝日が日曜午後、帰路がピークと重なりやすく、行きより帰りで差が出やすいレースウィークエンドだからこそ、判断軸の整理が効いてきます。
前提──北関東発・判断基準整理記事として書く理由
本題に入る前に、この記事の立ち位置をはっきりさせておきます。筆者は北関東発で富士遠征を続けており、東名・中央のどちらにアクセスする場合も、関東を縦断してから西へ抜ける動き方が基本になります。出発地が東京湾岸や横浜だと「最初から東名一択」になりやすく、判断の余地が少ない一方、北関東発だと圏央道経由でどちらにも入れるため、毎回の選択ストレスが大きいのです。
そのため本記事は、「北関東〜首都圏北側を出発地とし、東名・中央のどちらにも分岐できる人」を主な想定読者に置いています。関西側からの読者にも特性比較は参考になりますが、最終的な判断軸は出発地で変わる前提で読み進めてください。
また、本記事は「東名と中央のどちらが何分速い」という最短ルート決定記事ではありません。所要時間の数字は当日の交通量で簡単にひっくり返るため、断定的なランキングを出さない方針で書きます。代わりに、何分速いかではなくどちらがどう詰みにくいかを整理します。
富士スピードウェイ自体のアクセス基本情報(インター・所要時間の目安など)は、別途まとめた以下の記事を参照してください。

東名ルートと中央ルートの特性を4つの軸で比較する
ここからが本題です。東名ルートと中央ルートを「速さ」ではなく「特性」の観点で比較します。比較軸は4つ──渋滞の出方、事故時の逃げやすさ、精神的な走りやすさ、当日判断のしやすさです。
渋滞の出方
東名は首都高・東京近郊で詰まりやすく、行楽期や週末は慢性的に渋滞ポイントが固定している印象があります。海老名JCT周辺、大和トンネル、御殿場付近など、渋滞が起きる場所がある程度予測できる代わりに、いったん詰まると数十キロ単位で動かないことがあります。レースウィークエンドの帰路は特に厳しく、御殿場ICから本線合流の段階ですでに重い、という経験は珍しくありません。
一方、中央道は普段の交通量自体は東名より少ないものの、事故や落下物で一気に詰まる傾向があります。特に小仏トンネル付近の上り渋滞は名物で、往路の朝でも帰路の夕方でもよく刺さります。普段はスイスイ走れる代わりに、ハマったときの抜け道の少なさが厳しい、というのが中央の渋滞特性です。
圏央道から東名に接続する渋滞については、別途整理した以下の記事も参考になります。

事故・通行止め時の逃げやすさ
筆者が最も重視しているのがこの軸です。事故や通行止めに当たったとき、どこまで耐えられるかはルート選択の核心です。
東名は並行する一般道(国道246号など)が比較的整備されており、IC間隔も短いため、何かあったときの選択肢が豊富です。「とりあえず次のICで降りて246で逃げる」という判断が現実的に取れる区間が長い。これは大きな安心材料です。
中央道は山間部を貫いているため、いざ閉じ込められると逃げ道がほぼない区間が長く存在します。一般道に降りても遠回りになりやすく、降りた先が再度詰まる、というパターンが起きがちです。普段の流れの良さと引き換えに、トラブル時のリカバリ難度は中央のほうが高いと考えています。
「最短ルートではなく、最悪ケースで詰まないルート」を選ぶ、という発想に切り替えると、選択は変わってきます。
精神的な走りやすさ
意外と効いてくるのがこの軸です。長時間の運転では、所要時間そのものよりも運転中にどれだけ消耗するかのほうが、当日のレース観戦パフォーマンスに直結します。
東名は線形が比較的素直で、車線数も多く、トラックや観光バスとの混走に慣れていれば淡々と距離を稼げます。一方で交通量の多さが常に背中にあり、車間や合流のストレスは少なくありません。
中央道は山間部を抜けるため、アップダウンとカーブが連続し、運転そのものに集中力を要求される区間が多いです。流れがよければ走り応えがありますが、決勝後の疲れた頭で長時間走るには負荷が高め、というのが正直な体感です。
朝イチの行きは中央でも問題ない一方、決勝後の帰路は東名のほうが「楽に走れる」と感じる人が多いはずです。筆者もこの非対称性は意識しています。
当日判断のしやすさ
4軸目は、当日の交通状況を見て柔軟に切り替えられるか、という観点です。
東名は並行ルートが多く、交通情報の更新も比較的見やすいため、「ここまで来て詰まったら降りる」という判断ポイントを設計しやすいのが利点です。海老名・厚木・御殿場のあたりに「判断ライン」を置いておけば、状況に応じた切り替えが現実的に可能です。
中央道は判断ポイントの設計が難しく、選択肢自体が少ないため、いったん本線に乗ったら「行くしかない」状況に追い込まれやすい。事前に詳細な情報を仕込んでから出発する必要があります。
ナビと交通情報を併用しつつ、自分でリアルタイム判断ができるドライバーは東名のほうが扱いやすく、走り出したら走りきりたいタイプは中央のほうが性に合うかもしれません。
富士特有の最終分岐──西湘バイパス・小田原厚木道路の存在
ここまで東名・中央の2択で書いてきましたが、富士遠征にはもう1つの判断レイヤーがあります。それが、首都圏南西部を経由する西湘バイパス・小田原厚木道路ルートです。
北関東目線で言えば、海老名JCTから小田原厚木道路に行くか圏央道直進で平塚から西湘バイパス。東京方面からであれば、横浜横須賀道路や保土ヶ谷バイパスから小田原厚木道路に入り、西湘バイパス経由で箱根方面から富士へ抜ける、という選択肢があります。さらに、東名の渋滞を避けるために途中から小田厚へ逃がす、という応用もよく使われます。
このルートは、
- 東名の御殿場IC手前の渋滞を回避できる場合がある
- 箱根越えという別物の運転が必要になる
- 料金体系・所要時間が読みにくい
といった独特の特徴があります。鈴鹿遠征では発生しない最終分岐であり、富士遠征をルート判断の観点で独立した記事にする価値がある最大の理由はここです。鈴鹿は東名と新東名の選択がメインですが、富士は東名・中央・小田厚(+西湘)の事実上3択構造になっています。
タイプ別──こんな人は東名寄り/こんな人は中央寄り
ここまでの比較軸を踏まえて、タイプ別の指針をまとめます。あくまで指針であり、当日の状況で簡単にひっくり返ることは前提として読んでください。
東名寄りが向いている人
- 長時間運転で疲れたくない(特に帰路)
- 交通情報を見ながら柔軟にルート変更したいタイプ
- 関東南側・東京湾岸エリアからの出発で、東名アクセスが自然
- 渋滞は折り込み済みでもいいから、詰まったときの逃げ道を確保したい
- 箱根越え・小田厚への切り替えも視野に入れている
中央寄りが向いている人
- 朝イチ早出が前提で、行きの流れの良さを重視したい
- 関東北側・西側からの出発で、中央道のほうが自然に乗れる
- 運転そのものに集中力が残っている時間帯(往路)に走りたい
- 小仏渋滞を時間帯でかわせる自信がある
- 御殿場周辺の東名渋滞をどうしても避けたい
北関東発の場合は、行きは中央、帰りは東名という非対称運用も実用的です。往路は流れが良ければ中央で稼ぎ、復路は疲れた頭でも淡々と走れる東名で帰る、という組み合わせは筆者もよく検討します。
事前計画と当日判断は分けて考える
もう一つ大事な視点が、事前計画と当日判断を別物として扱うことです。出発前に決めることと、走り出してから判断することを混ぜると、毎回うまくいきません。
事前計画フェーズの考え方
事前計画では、ルートを完全に決め切らないほうが結果的に楽になります。出発前に固めるのは次の3点だけで十分です。
- 当日の出発時刻(できれば1時間刻みで2案)
- 第一候補ルートと第二候補ルート(東名 / 中央 / 小田厚のいずれか)
- 切り替え判断の分岐ポイント(例:海老名JCTで判断、八王子JCTで判断、など)
ルートを1本に絞り込むよりも、判断ポイントを決めておくほうが当日柔軟に動けます。「この場所で交通情報をチェックして決める」という設計を持って出発するのが、富士遠征のコツです。
当日に切り替えるかの考え方
走行中にルートを切り替えるかどうかは、次の優先順位で考えています。
- 切り替え後のルートが本当に空いているか(情報の鮮度を確認)
- 切り替え地点まで到達できるか(手前で詰まるなら諦める)
- 切り替えによる料金・距離増が許容範囲か
- 到着遅延の許容時間内に収まるか
原則は「迷ったら切り替えない」です。切り替え先がさらに混んでいた、という事態は珍しくなく、リアルタイム情報がよほど明確に有利を示していない限り、当初ルートを貫いたほうが結果的に速いことが多い、というのが筆者の経験則です。
TKDが迷ったときに置いている基本方針
最後に、筆者自身がルート選択で迷ったときに置いている基本方針をまとめておきます。これは正解ではなく、あくまで一つの基準として参考にしてください。
- 最短時間より「逃げ道」を優先する──予測可能性のほうが、ピーク性能より価値がある
- 帰路は東名寄りに倒す──疲れた頭で運転負荷の高いルートは選ばない
- 当日に判断する余地を残しておく──事前に決め切らず、分岐ポイントだけ持って出発する
- 所要時間の数字に振り回されない──ナビの予測時間は出発時点の情報でしかない
- 迷ったらいつものルート──慣れてる道のほうが安全に走りやすい
これらは北関東発の経験から組み上げた方針で、関西側からの遠征には特性比較の部分のみが参考になると考えています。出発地が変われば当然軸も変わるので、本記事の比較軸を自分の遠征パターンに合わせてカスタマイズしていただくのがよいでしょう。
富士スピードウェイ観戦そのものの準備や当日の動き方については、別記事のほうで体系的にまとめています。

まとめ:富士遠征のルートは「逃げ道」を軸に選ぶ
富士スピードウェイ遠征における東名と中央の選択は、「どちらが速いか」ではなく「どちらがどう詰みにくいか」で考えると、毎回の判断がぐっと楽になります。本記事の整理を、改めて要点だけ並べておきます。
- 東名と中央に常に正解はない。条件で選ぶ
- 渋滞の出方・逃げ道の有無・運転負荷・当日判断のしやすさで比較する
- 富士は西湘・小田厚という最終分岐があり、事実上3択構造
- 事前計画では1本に絞らず、判断ポイントを決めて出発する
- 迷ったら切り替えない。最短時間より逃げ道で選ぶ
次の富士遠征のルートを決めるとき、「どっちが速いだろう」ではなく「どっちが詰みにくいだろう」で考えてみてください。判断の前提が変わるだけで、出発前夜の悩み方も、当日の心の余裕もずいぶん違ってきます。鈴鹿版の判断基準記事も近いうちに整理する予定なので、そちらもあわせて参考にしていただければうれしいです。
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