2026年のF1日本グランプリを、今年は移動日を含めて数日間、現地で過ごしました。
金曜日から日曜日までサーキットに通い、レースだけでなく、会場の雰囲気やイベント、観客の様子、そして毎年話題になる混雑やアクセスまで、ひと通り体験することができました。
ここ数年、日本GPの来場者数は大きく増え、以前の日本GPとは少し違うイベントになってきているように感じます。
良くなったと感じる部分もあれば、新たに見えてきた課題もあり、「大きなイベントになったからこその難しさ」も強く感じた3日間でした。
個別の現地レポート記事では、時系列でその日の出来事を書いてきましたが、この記事ではそれらを踏まえて「2026年の日本GPはどんなイベントだったのか」を、少し俯瞰した視点でまとめてみたいと思います。
規模、混雑、イベント性、運営、観客の雰囲気など、実際に現地に行って感じたことを中心に、2026年の日本GPを総括します。
これから日本GPに行ってみたいと思っている方や、来年以降の観戦を考えている方の参考にもなればうれしいです。
2026年F1日本GP現地観戦記事はこちらでまとめています。ぜひご覧ください。
👉2026年F1日本GP現地観戦ログ特集|現地レポ・インプレッション・イベント情報
Session Overview|2026年Rd.3日本GP
| 正式名称 | 2026 FIA F1 World Championship Aramco Japanese Grand Prix |
| 開催日 | 2026年3月27日(金)~3月29日(日) |
| 開催場所 | 鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市) |
| 全長 | 5.807km |
| Lap Record | 1:26.983 Max Verstappen (2025) |
鈴鹿サーキットでの観戦を予定している方は、観戦エリアやアクセス、おすすめの観戦席などをまとめた観戦ガイドも参考にしてみてください。
👉 鈴鹿サーキット観戦ガイド|観戦エリア・アクセス・観戦席まとめ
2026年の日本GPの規模感
2026年のF1日本グランプリは、改めて「とんでもない規模のイベント」だと実感する3日間でした。
観客数、会場の広さ、人の流れ、イベントの数、どれを取っても国内モータースポーツの枠を完全に超えていて、もはや一つの巨大フェスや万博のような空間になっています。
まずは数字と現地の体感から、2026年の日本GPがどれくらいの規模だったのかを整理してみます。
決勝日は13万人。3日間合計31万人超の巨大イベント|国内レースの約4倍!
近年のF1日本GPはとにかく人が多い。
2010年と2017年から毎回の計9回参戦していますが、ここ数年の来場者数の伸び方は半端ないです。
特に今年、2026年は決勝日だけで13万人(昨年比+2万人↑)、3日間合計で31.5万人(昨年比+4.9万人)と2006年の鈴鹿開催以来20年ぶりの30万人超を達成しました。
私が参戦している年で言えば、圧倒的最多来場者数です。
金曜のP1開始(11:30)時点でB2席とQ2席はほぼ満席という異常事態です。
国内最大人気を誇るSUPER GT鈴鹿ラウンドも決勝日3万人超、2日間合計5.5万人超と多くの来場者数を誇ります。
ですが、公式練習の段階で席が埋まってるなんてことはなく、決勝レースでも東コースの空席は目立ちます。
来場者数も、今年のF1日本GPと比べてしまうと4倍もの開きがあり、国内レースが霞んで見えてしまうほどの差があります。
来場者数の多さを実感するのは、なにもサーキット場内・周辺だけではありません。
近鉄四日市駅周辺の賑わい、名古屋駅周辺の人だかり・外国人の多さ、名古屋⇔鈴鹿間の都市部のいたるところで人の多さを感じました。
おそらく津方面でも同様だったと思います。少なくとも私が見た範囲では、三重県全体がF1一色になっていたような週末でした。
もしかしたら、近鉄特急で一本の大阪でさえも人の増加を感じられたかもしれません。
この感覚は、コロナ前の3年間(2017,2018,2019)では感じたことのない感覚でした。
正直、感覚としてはSUPER GT鈴鹿1000kmに毛が生えた程度という印象でした。(数字上は倍以上でしたが…)
ですが、今年は間違いなく、サーキット場内・周辺、名古屋駅周辺に、日本中はもとより世界中から人が集まってきたと実感できる週末だったと思います。
国内イベントの比じゃないテナント出店数
F1ウィークは、来場者数の多さだけでなく、テナント出店数の多さも目立ちます。
以前のF1でもそうでしたが、近年では特に顕著です。
以前は閑散とし、一昨年前には一つのブースもなかった西エリアにFAN ZONEが設置されています。
少し開けた場所には必ずフード販売のテントが立ち並び、キッチンカーや地元グルメ、ご当地グルメのブースまで並んでいて、もはやサーキットというより大型フェス会場のような雰囲気でした。
公式のグッズ販売も、GPスクエアだけでなく、東コースから西コースエリアまでいたるところで見かけます。
GPスクエア中心にイベントが集中する国内レースとは規模が違います。
かつては東エリアが盛り上がり、西エリアは閑散としていた日本GPも、今は昔。
2025年以降のF1日本GPは鈴鹿サーキット全域どこにいても同じように盛り上がれるイベントです。
2026年はさらにブラッシュアップして洗練され、正直落ち着ける場所はどこにもありませんでした。笑
展示ブースは少なく、よく言えば厳選され整っているが、悪く言えば面白みが少ない
出店テナントも多く、ものすごい盛り上がりを見せる一方、体験系や企業展示ブースはさほど多くはありません。
国内レースの観戦経験がある方はご存知かもしれませんが、SUPER GTなどでは様々なメーカーブースや企業ブースがGPスクエアに立ち並び、セッション間の空き時間も暇を持て余すことがないくらいです。
ですが、今回のF1日本GPでは、展示ブースはHONDA/HRCブースくらいしかなく、体験系はWEST FAN ZONEに設置されていたPIT CHALLENGE/SIMULATOR/PODIUM体験くらいです。
おそらく、スポンサーの権利関係で難しい部分があるのでしょう。
ここは仕方のない部分だと思っています。
とはいえ、ドライバーのパネル設置や多くのトークショーの実施など、楽しめるものは決して少なくはありません。
トークショーなんかは、国内レースとは異なり場内放送でも楽しむこともできます。
展示ブースの少なさは、悪く言えば面白みが少ないとも言えます。
ですがその分、会場全体が「F1」という一つのイベントに統一されていて、雑多な感じがなく、非常に整ったイベント空間になっているとも感じました。
前項でも触れましたが、楽しみはどこにでもあって、現地で時間を持て余すということはほぼありません。
これから初めて日本GPに行く方も、その点は安心して大丈夫だと思います。
まあ、行列の待ち時間の長さのせいって話もあるんですがね…笑
国内レースが「モータースポーツイベント」だとすれば、F1日本GPは「F1というコンテンツの世界観を体験するイベント」なのだと思います。
日本GP最大の課題、混雑とアクセス
楽しいイベントである一方で、日本GPを語る上でどうしても避けて通れないのが「混雑」と「アクセス」の問題です。
特に決勝日の帰りは毎年話題になりますが、実際に現地で体験してみると、単に人が多いという一言では済まないレベルの大移動が発生しています。
ここでは、実際の移動や混雑の様子を振り返りながら、日本GP最大の課題について整理してみます。
夕方は、場内・場外・駅、すべてにおいて大渋滞
日本GPで一番大変なのは、間違いなく「帰り」です。
朝夕どちらも混雑はもちろん発生します。
ですが、比較的時間が分散する朝と違い、帰宅時間が集中する夕方はどこもかしこも尋常じゃない渋滞が発生します。
退場のため場内をエントランスに向けて移動するための大渋滞。
白子駅に向かうシャトルバスを待つための大渋滞。
鈴鹿サーキット稲生駅、白子駅、平田町駅で電車に乗るための大渋滞。
もちろん、サーキット周辺道路の大渋滞も。
A席裏の坂を1コーナーゲートやGPスクエア方面に上がっていく大行列は、セッション後1時間以上途絶えないのがC席から見えました。
白子駅行きのシャトルバスは150分以上の待ち時間が案内されていました。
鈴鹿サーキット稲生駅は最大180分待ち、白子駅も平田町駅も入場規制。
平田町方面へは、徒歩のほうが早く着いてしまうくらいの大渋滞です。
体感としては、決勝終了後すぐに動いてもすでに大渋滞が始まっていて、どこに向かってもある程度の待ち時間は覚悟する必要があります。
逆に、1〜2時間サーキット内で時間を潰してから動いた方が、結果的にスムーズに帰れる可能性もありそうだと感じました。
実際、レース後にすぐ帰ろうとする人が一斉に動くので、少し時間をずらすだけでも混雑のピークを避けられる可能性はありそうです。
未体験では想像がつかないかもしれませんが、数万人規模のイベントが一斉に帰宅する状況を想像してもらうと近いと思います。
有馬記念を想像してみると少しは理解が追い付くかもしれません。
(私は有馬記念は行ったことないですが…笑)
日本GPの混雑はある程度覚悟して行く必要がありますが、想像の3倍の覚悟をしてもいいかもしれません。
それも含めて「日本GPという巨大イベント」なのだと思います。
白子行きシャトルバスの待ち時間150分超、駅は入場規制
今回は前売り駐車券が入手できなかったため、公共交通機関での移動になりましたが、想像以上のヤバさでした。
※余談ですが、TKDたちはトラブル未然防止のため、民間駐車場の利用は一切しないと固く誓っております。
白子行きのシャトルバスは金曜から120分待ち連発で、土日は最大150分以上の待ち時間も。
白子駅への徒歩ルートが60~80分程度とされているので、待ってる時間で往復可能なほどです。笑
つまり、白子方面に向かう場合、「バスに乗るか」「徒歩で向かうか」「時間をずらすか」の判断がかなり重要になります。
バスなり徒歩なりで白子や平田町駅に着いたとしても、近鉄の輸送量が追い付いていないのか駅で入場規制がかかります。
逆に言えば、近鉄の輸送量以上のピストン輸送をやり切った三重交通の力量を褒めるべきなんでしょうか…
前項で、「少し時間をずらせば…」と書きましたが、今回は2~3時間程度ずらせば、かなり快適に帰ることができました。
場内で余韻に浸りながら、1~1.5時間。
駅の近くまで移動した後、晩酌や夕食でさらに1~1.5時間ほど時間を潰しました。
実際、20時前に電車に乗るようにすれば各停であれば空いている車両で帰ることができ、21時前にもなると白子から急行で座って帰ることもできました。
ただ、正直なところ、これだけ時間がかかるなら、同じ時間渋滞にぶち当たったほうが楽ですね。
快適な空間は確保できていますし、夕食も選択肢が増えます。
来年以降、たとえ日曜だけだとしても、駐車券は確保しようと心に決めた、2026年の日本GPでした。
フードや物販、トイレの混雑は、案外昨年より少なく感じたかも?
ここまで、人が増えた、混雑ヤバい、大渋滞、といったことばかり書きましたが、改善されたなってところも。
フード販売の行列やトイレ渋滞の行列はかなり緩和された気がします。
体感時間もそうですし、見た目の長さもだいぶ違うように感じました。
並んだ時間がたまたまよかった可能性も否定はできませんが、ここ数年そんなことは全くなかったので、改善と考えていいと思っています。
トイレに関していえば、常設トイレが改装され、キャパUPしていたことが一番の要因と考えています。
改装され、きれいになっただけではなく台数も増えた便器が渋滞の解消に重要な役割を果たしているのでしょう。
正直、仮設含めトイレの数が増えた印象はそんなになかったので、きっとそうだと思います。
また、今年に限ったことではないですが、仮設トイレも大小で明確に分けていることもいいと思います。
常設トイレの渋滞原因の一つに、大と小の行列が混ざっていることもあると思っています。
仮設では同様の事象は発生しないように配慮されていることが、相乗効果を生んだのだと思います。
なお、男子トイレのレビューばかりですいません。
さすがに女子トイレのレビューをするわけにはいきませんので…(女性の方、ご意見ください!)
行列の見た目だけにはなりますが、女性用も昨年よりはかなり改善されているようには見えました。
フードに関しては、もしかしたら統一されたオペレーション指導が入ったような気がします。
正直定かではないのですが、今まで店舗ごとに自由にデザインされていた看板は統一デザインになっていましたし、もしかしたら…と思っています。
それくらい、いつもより行列が少ないように感じました。
今年のような状態であれば、フード行列・トイレ行列は最大の課題とは言えないフェーズが来ているような気がします。
つまり、場内の環境に関しては年々改善されていて、問題は「場外への移動」に集中しているように感じました。
移動さえ勝ち技を見つけることができれば、快適なF1現地観戦が手の届くところに来ているのかもしれません。
セッション以外での盛り上がり
F1日本GPはレースイベントですが、実際に現地に行ってみると「レースを見ている時間以外」もかなり長いです。
そしてその時間をどう過ごすかによって、観戦体験の満足度は大きく変わります。
F1 Villageや各種イベント、展示、前夜祭など、セッション以外の時間にどんな楽しみがあったのか、イベントとしての日本GPの側面を振り返ってみます。
DJプレイやFAN ZONEの設置で、場内は常に一定以上のテンションキープ
近年のF1日本GPは、一昔前のF1や国内レースとは少しテイストが変わっています。
レースイベントというよりは、レースをメインとした総合イベントというべきでしょうか。
レースを観に行く場所であると同時に、会場全体で一日中楽しめるエンターテインメント空間になっている、という印象です。
その良し悪しは人それぞれ賛否あるでしょうが、とにかくコース全体・金土日で途切れない盛り上がりを見せています。
その象徴が、会場に流れているDJによる音楽とFAN ZONEだと思います。
以前は特に音楽など流れておらず、人混みの騒がしさという感じでした。
今でもそれは同じですが、音楽が流れることによって、盛り上がりの中に一定方向のベクトルが生まれたような気がします。
また、FAN ZONEを設置したことによって、GPスクエアメインだった人の集まりも分散し、各々の楽しみ方ができるようになったと思います。
ドライバーや関係者のトークを直接聞きたいならGPスクエア。
ドライバーのパネルと写真を撮ったり、マシン展示をみるならFERRIS WHEEL FAN ZONE。
大画面でF1を見ながらお酒を嗜んだり、体験ブースを楽しむならWEST FAN ZONE。
最高峰のレース体験という価値は残しつつ、場内すべてが「イベント会場」と化したことで楽しみの幅は確実に広がったと思います。
国内レースと比べると、意外とイベントは少ない
国内レースは、イベントが豊富です。
トークショーはもとより、ピットウォーク、サーキットサファリ、レースクイーンステージ、じゃんけん大会…
ですが、F1はセッション後のコースウォークなどを除くとトークショーとライブステージしかありません。
イベントの豊富さで言えば、圧倒的に国内レースに軍配が上がります。
(Paddock Club Passなど持ってたら違うのかな…?)
とはいえ、だからと言って楽しめないかというとそんなことはありません。
トークショーは、現役ドライバーからチーム代表、国内レース関係のゲスト解説者など多岐にわたります。
インタビュアーも、我らがピエール北川さんと内容も充実です。
なので、幅は狭くとも深さ・密度は段違いです。
国内レースとF1では、イベントの方向性そのものが違うのだと思います。
様々なイベントはぜひ国内レースに行って楽しみましょう。
F1では、F1でしか味わえない、そんな体験を重視し、楽しむのが正解だと思っています。
それでも一つ一つのイベントでは大盛り上がり
イベントの種類が少ないからと言って、イベントが盛り上がらないわけではありません。
推しのドライバーのトークではファンを中心に熱狂し、
角田くんや国内人気ドライバーが出てくれば鈴鹿全体が盛り上がり、
中嶋悟さんなどレジェンドの登場にはおじさんたちも大興奮!笑
ライブイベントも、知ってる人知らない人問わず大喝采です。
個人個人、思いのままに盛り上がっているのはもちろんですが、F1サーカスという雰囲気に飲み込まれて、相乗効果でより盛り上がっているような感じです。
普段ならテレビやイベントで見たことがある人、会ったことがある人なのに、F1日本GPという場所で見ると、話を聞くだけでやたらうれしくなったり、思わず涙が出そうになったりもする。
そんな特殊な空間を味わうことができるのもまた、F1なのです。
大規模イベントを支える運営と観戦環境
これだけの人数を集めるイベントが成立しているのは、言うまでもなく運営とインフラが機能しているからです。
導線、スタッフの数、案内表示、トイレや売店、観戦席の環境など、実際に3日間過ごしてみると、良かった点もあれば改善してほしいと感じる点も見えてきます。
この章では「大規模イベントとしての運営と観戦環境」という視点で、日本GPを振り返ります。
3日間合計で5万人増もトイレ渋滞は減少方向
以前の章でも書きましたが、トイレ渋滞は確実に減少していると感じています。
本来なら、3日間合計5万人、日曜だけでも2万人増の影響で行列がより長くなっても仕方のない状況だと思います。
そんな中、改善に持っていくことができたのは、運営側の皆様がこの2,3年の急激な増加に伴うトイレ渋滞の悪化を課題としてとらえ、確実に対策を実施してきた結果だと思います。
トイレに限らず、入場・フード販売・退場まで、大きな事故や破綻なくイベントが完了したのは、現場で運営をしてきた皆さまのおかげだと思っています。
もちろん、不満がないわけではありません。むしろ、いろいろあります。
それでも、毎年毎年この世界最高峰の自動車レースを日本で見られるというのは、ひとえにきちんと運営がなされているからこそです。
今年も無事にF1日本GPを現地で観戦でき、まずは運営に携わったすべての方々に感謝したいと思います。
セッション後の退場動線とイベント待ち動線の競合は即時改善要望
やり切ったからと言って、すべてが完璧だったわけではありません。
ここについては、少し危険も感じましたので、来年に向けてぜひ改善を検討していただきたい点として書いておきます。
提言:
「予選・決勝後のコースウォークやピットウォーク開催時、GPスクエアからD/E席側へ抜けるアンダーパスに待機列を配置する場合、帰宅動線とイベント待機動線が交差しないよう、アンダーパスの一部をイベント待機列専用動線として封鎖するなど、動線を明確に分離してほしい。」
土曜日の予選終了後、私はC席で約1時間待機したあと移動を開始し、D/E席側から正面エントランスへ向かいました。
その際、D/E席側からGPスクエア方面へ抜けるアンダーパスで大渋滞が発生していました。
ただ人が多いだけの渋滞であれば、ここまで問題だとは思いません。
しかし実際には、その通路の半分以上がピットウォーク・コースウォークの待機行列によって占有されており、残った狭い通路を使って双方向の人の移動が行われている状態でした。
しかもその場所はコース下を通るアンダーパスで、GPスクエア側・D/E席側の両方が坂になっています。
つまり、
- 坂になっている通路
- 通路幅が待機列によって圧縮されている
- 双方向から人が流れ込む
- セッション終了直後で人の移動が一斉に発生する
- 場所によっては完全に人が止まってしまう
という状況が同時に発生していました。
これは単なる混雑というより、構造的にかなり危険な状態に近かったのではないかと感じています。
しかも、運用の仕方を考えれば、明らかに発生することのなかったものだと考えています。
結果的に何事も起こらなかったからよかったものの、一歩間違えれば群集事故のような事態が起きてもおかしくない条件が揃っていたように思います。
そういう意味では、動線設計・運用としてはかなり杜撰だったと言わざるを得ません。
繰り返しますが、混雑していること自体に不満を言っているわけではありません。
F1日本GPの規模を考えれば、ある程度の混雑は避けられないものですし、むしろこれだけの人数が動けばどこかで混雑は発生して当然だと思っています。
ただ、本来は分けられるはずの「帰宅動線」と「イベント待機動線」が同じ通路に設定されてしまったことで、運用によって余計な危険な混雑を発生させてしまっているように見えた点が問題だと感じました。
万が一事故が起きてしまった場合、この状況は「人災」として運営側の責任が問われてもおかしくない、それほど危険性をはらんだ運用だったように思います。
通路をイベント待機列専用にしてしまえば、別の場所で多少混雑が増えるかもしれませんし、席によっては遠回りになる人も出てくると思います。
それでも、動線を分離することでリスクを下げることの方が重要ではないかと感じます。
この件についてはアンケートにも記載しましたので、来年以降、より安全な動線設計・運用に改善されることを期待しています。
三重交通のシャトルバス捌きは別次元
「白子駅行きのシャトルバス、待ち時間は最大150分超」
これだけ聞くととんでもない状況に見えますが、実際には少し違った側面も見えてきます。
- 150分待ちはコンサバすぎ。実は60分~90分で乗れている例も(Xの投稿より)
- 数十人乗りの路線バスでピストン輸送しているにもかかわらず、数倍~10倍の輸送力を持つ近鉄線側で入場規制を発生させる
- SNS上でもバスそのものに対する不満はそれほど多く見られない(XにてTKD調べ)
つまり、「待ち時間が長い=輸送できていない」というわけではなく、実際にはかなりの人数を運び続けている結果としての待ち時間だった可能性が高そうです。
正直、あの規模の人数をあの立地のサーキットから運び続けているのは、なかなかできることではないと思います。
一説によると、伊勢神宮の初詣、F1日本GP、ナガシマスパーランドなど、三重県内の大規模イベント輸送で長年実地経験を積んできた結果なのだとか。
なんにせよ、こうした輸送インフラを支える人たちがいて初めて、日本GPのような巨大イベントが成立しているのだと思います。
願わくば、今後ともこの輸送体制が維持され、さらに改善されていくことを期待したいところです。
金曜日の指定席券優先は不要
「金曜日、自由席期間中の指定席券の優先制度、要ります?」
大きな不満ではないし、特に何かあったわけでもないですが、ちょっと気になりました。
金曜日は、V席など一部を除き、基本的に自由席になっていることは皆様も知るところかと思います。
昨年までは完全フリーだったと記憶していますが、今年から「指定席券所有者が優先」と明言されるようになりました。
数万を超える金額を払ったにもかかわらず、座れないの?という気持ちもわかります。
実際に、’25以前に
「ここ私の席ですけど…」
「いや、今日は自由席ですよ?」
と想像されるやり取りを目撃したこともあります。
なので、導入の理由も理屈は理解できます。
ただ、個人的には、金曜日ってあの自由さがないと成立しないと思ってるんですよね。
自由席であることを生かして、いろんな席からいろんな魅力を確認する。
それと同時に、場内のさまざまなエリアを見て回ることもできる。
だからこそ、F1を最大限楽しむことができる。
それが金曜日の存在意義だと思っています。
もちろん、今年の運用でも大崩れはしてないと思います。
ただ、自由に中途半端に制約をつけることにどれだけの意味があるんだろうかと思ってしまいます。
金曜日は「いろいろな席で観戦できる日」という特別な意味を持つ日だと思っています。
指定席を持っている人を守るという考え方も理解できますが、それ以上に、金曜日という一日が持つ自由さや回遊性という価値も大切にしてほしいな、と感じました。
F1側の意志なのか、鈴鹿サーキットの意志なのかはわかりませんが、元に戻してもいいんじゃないかなぁ、と思う今日この頃です。
日本GPの雰囲気を作る観客という存在
日本GPの雰囲気を語る上で、運営やイベントと同じくらい大きな要素が「観客」そのものだと思います。
海外からのファン、日本人ファン、家族連れ、熱心なF1ファンなど、さまざまな人が同じ空間に集まることで、あの独特の雰囲気が生まれています。
現地で感じた観客の様子やマナー、雰囲気について、印象に残ったことを書いていきます。
騒がしさはないが、確かに感じる熱狂
ドライバーたちは、口々に「日本のファンは最高」だと言います。
もちろんリップサービスもあるでしょう。でも、それだけではないはずです。
日本人は性格的にも、欧米人(特にスペインなどラテン系)のように大熱狂するタイプではありません。
それでもドライバーたちが日本のファンを讃えてくれるのはなぜなんでしょうか。
答えは、現地で観戦するとなんとなくわかってきます。
表面には大きく出さなくても、それぞれが応援する気持ちを最大限表現している人が多いことに気づきます。
グッズを身に着けて応援するのはもちろん、自作の応援グッズを作成して応援している人も多数います。
海外GPを現地観戦した経験はありませんが、TVで見ている限りでは、日本GPは自作グッズが明らかに多いように感じます。
うちわ、自作パネル、マシンを載せたヘルメットなど。
ヘルメットに載せたマシンのDRSが開くように作られているものまでありました。
こうした画一的ではない、個性あふれる応援の多さも、日本のファンが評価される理由の一つなのかもしれません。
F1ドライバーともなると常人離れした動体視力ですからね。きっと、ああいうものもしっかり見えているんだと思います。
騒がしいわけではない。
でも、それぞれが自分なりの形で全力で応援している。
そんな空気が、日本GP独特の「静かな熱狂」を作っているのかもしれません。
日本のファンは、基本的にF1箱推し
F1の歴史を見ても、日本人ドライバーは決して多いわけではありません。 それでも日本人はF1を見に行きます。
推しドライバー、推しチーム、もちろんそれぞれ応援していると思います。
日本人ドライバーが走っていれば、推しドライバーや推しチームが別でも、同じように大きな声援が送られます。
でも、それ以上に感じるのは、推しがいたとしても、すべてのドライバー、すべてのチームに同じように声援が送られていることです。
いわゆる「箱推し」というやつでしょうか。
鈴鹿では、ブーイングはほとんど聞きません。
鈴鹿では、誰かがクラッシュしても歓声は上がりません。聞こえてくるのは歓声ではなく、悲鳴です。
すべてのドライバーに等しい声援を。
そのうえで、推しにはそれを上回る声援を。
会場全体でその空気感が自然と作られていることも、ドライバーたちに称賛される理由のひとつなのかもしれません。
ただ、一定数はいるイリーガルとモラルハザード
日本のファンは素晴らしい。
F1に限らず、様々なスポーツで聞く言葉です。
実際、会場の大多数の人はルールを守り、それぞれが思い思いの形で観戦を楽しんでいます。
とはいえ、すべてのファンがルールを守り、マナーがいいわけではありません。
今回も、いくつか気になる場面を目にしました。
- 「走らないでください」という係員の声を無視してピットウォークで走り出す人
- 場所取り禁止にもかかわらず、長時間にわたって場所取りをしている人
- セッション後、人がはけたあとに残るペットボトルやフードの容器
- 通行方向を無視して人の流れを逆走する人
などです。
今回は天候の都合上見られませんでしたが、雨天時のスタンドで傘をさす人も毎年問題になります。
正直なところ、これはF1に限った話ではなく、国内レースでも多々見られる光景です。
他の場所でもよく言われていますが、「日本人はマナーがいい」という神話は、もはや過去の話となってきているのではないかと感じています。
ただ、ここで問題なのは「マナーが悪い人がいる」という話だけではありません。
走らない、場所取りをしない、通行方向を守る、傘をささない。
これらはマナー以前に、明確にルールとして禁止されている行為です。
ルールとして掲げている以上、それが守られていないのであれば、本来は運営側がきちんと注意・指導し、場合によっては退場なども含めて対応する必要があるのではないかと思います。
ルールがあっても守られず、そして取り締まりもされないのであれば、そのルールは形だけのものになってしまいます。
観客数がここまで増えた今、以前のように「みんながちゃんとやるだろう」という前提では、もう安全なイベント運営は難しい段階に来ているのではないでしょうか。
観客一人一人がルールを守ることは大前提として、そのうえで、ルール違反があった場合にはきちんと是正される仕組みを作っていくことも、これからの日本GPには必要になってくるのだと思います。
来年の日本GPに向けて思うこと
3日間現地にいて感じたことを踏まえて、「来年行くならどうするか」「これから日本GPはどうなっていくのか」ということも自然と考えるようになりました。
混雑やアクセスの問題、イベントの規模、観戦環境など、実際に行ったからこそ分かる来年に向けたポイントや、これから行こうとしている人に伝えておきたいことをまとめていきます。
来年はさらに来場者数は増えるのだろうか?
ここ数年、F1日本GPは加速度的に来場者数を伸ばしています。
2026年は、コロナ前の2018年と比較して約2倍(約15万人増)、コロナ明け初年度の2022年と比較しても1.5倍以上(約11万人増)となっています。
※コロナ前最終年は2019年だが、台風の影響で土曜が中止となったため2018年で比較
さらに、HONDAの関与、TOYOTAのスポンサー参加、日本人ドライバーの存在など、今後さらに観客動員が増える要素も多くあります。
これらを考えると、来年以降も来場者数の増加は続いていく可能性が高いのではないかと感じています。
今年の運営では、トイレやフードなど改善された点も確かにありました。
一方で、アクセスや退場動線など、新たな課題や混乱も見られました。
運営側も毎年改善を重ねていくとは思いますが、来場者がさらに増えれば、新しい問題が出てくる可能性も十分にあります。
これから日本GPの現地観戦を検討している方は、
「人気イベントだから何とかなるだろう」ではなく、
事前にアクセス方法・帰宅方法・滞在方法をしっかり調べて準備していくこと、そしてある程度の混雑や待ち時間は覚悟しておくことが、結果的に満足度の高い観戦につながると思います。
少し大げさに聞こえるかもしれませんが、日本でのF1人気は確実に高まっていて、「気軽に行けるイベント」ではなく、「準備して行く大型イベント」に変わったと感じています。
ですが、その大変さや混雑を差し引いても、現地でしか味わえない体験があることもまた事実です。
それだけの価値が、日本GPには間違いなくあると思います。
これからもモータースポーツ関連の発信は続けていきますので、願わくばこの「緑のもめんどうふ」が、日本GP観戦の準備や計画に少しでも役立てばうれしいです。
ここ数年、公共交通機関で来場していなかったこともあり、今年久しぶりに公共交通機関を利用してみて、アクセス面ではいくつか課題が見えたように感じました。
前述もしましたが、我々の結論としては「自家用車で場内駐車場が確保できるなら、それが最も楽」というものになりました。
とはいえ、宿泊場所や同行者の都合などによっては公共交通機関を利用する人も多いですし、実際には多くの来場者にとって公共交通機関がメインの移動手段になっていると思います。
今年の状況を振り返ると、「この来場者数で大きな混乱なく輸送できているのはすごい」と感じる部分もありました。
一方で、白子駅までのバス待ちや駅の入場規制など、通常のイベントではなかなか経験しないレベルの移動時間がかかってしまっているのも事実です。
もちろん、年に一度の巨大イベントなので、ある程度時間がかかること自体は仕方がないとは思います。
それでも来年以降、「この人数なのに、思ったより普通に帰れるな」と感じられるようになれば、公共交通機関での来場のハードルもかなり下がるのではないでしょうか。
シャトルバスの運行、駅での誘導や入場規制など、すでに様々な対策は取られていると思いますが、今後さらに来場者が増えていくのであれば、鉄道会社・バス会社・サーキット運営がより連携した輸送体制が整っていくことを、利用者として期待したいところです。
(独り言:カギは「近鉄との連携強化」かなぁ…)
チケット発売まで約半年。それまでじっくり考えよう
ここ数年の混雑状況を考えると、「来年も絶対行こう!」と即決できないよね、という話を同行した同僚ともしていました。
以前の、今の半分以下の来場者数だった頃の日本GPを知っている身からすると、観客が増えてうれしい反面、ここまで大変になっても現地観戦を続ける価値が今のF1にあるのか、と少し考えてしまう部分もあります。
(個人的には、2010年ごろの2.4L V8 NAエンジンの音が一番好きなのですが…)
とはいえ、「もう行かなくていいかな」と思うほどではなく、やっぱり来年もまた行きたい気持ちは残っています。
だからこそ、来年は今年の反省も踏まえて、宿・アクセス・観戦席・現地での過ごし方・帰り方まで、もう一度じっくり計画を立ててみようと思っています。
例年、チケット発売は10月ごろなので、それまでまだ半年ほど時間があります。
この半年で、「どこに泊まるか」「どうやって行くか」「どの席で見るか」「どうやって帰るか」――そういうことをあれこれ考えている時間も、実は日本GPの楽しみの一つなのかもしれません。
すでに来年の観戦を決めている人も、まだ迷っている人も、この半年でじっくり計画を立ててみてください。
近年の日本GPは、「当日の動き」よりも「事前準備」で快適さが大きく変わるイベントになってきていると感じます。
もしその計画を立てる中で迷うことがあれば、ぜひこの「緑のもめんどうふ」の記事も参考にしていただけたらうれしいです。
同じ観戦者目線で、これからも情報をまとめていこうと思います。
TKD’s Eye|特に印象に残ったことベスト3
最後に、ここまでいろいろ書いてきましたが、3日間を振り返って「結局何が一番印象に残ったのか」をベスト3という形でまとめておきます。
良かったこと、驚いたこと、大変だったことも含めて、2026年の日本GPを象徴する出来事を個人的な視点で振り返ります。
だいぶ長くなったので、箇条書きでトピックだけ。
詳細はすべて、前述した内容に入っているはずですので。
- トイレをはじめ、場内の混雑が緩和したように感じたのは素晴らしい!
- 快適な帰宅方法は自家用車一択!駐車場争奪戦を制した者が日本GPを制す
- F1でも目に付く、イリーガルとモラルハザード
日本GP観戦は「準備と戦略」の時代へ
2026年のF1日本GPは、過去最多の来場者数となり、これまで私が知っている日本GPとは少し違うイベントになっていました。
場内のトイレやフード、イベントエリアの整備など、年々改善されている部分も多く、「世界最高峰のレースイベントを開催する場」としての環境は確実に良くなっていると感じました。
一方で、アクセスや退場動線、観客マナー、ルール運用など、来場者数の増加に対してまだ追いついていない部分や、新たに見えてきた課題もあったように思います。
今の日本GPは、以前のように「気軽に行けるイベント」ではなく、
事前に宿を確保し、移動手段を考え、帰り方を考え、当日の動きを考える――
そういった準備によって快適さが大きく変わる「準備型イベント」になったと感じています。
それでも、実際に現地でしか味わえない空気、音、スピード、そしてあの独特の雰囲気は、やはり特別なものです。
大変なこともたくさんありますが、それでもまた行きたいと思わせる魅力が、日本GPには確かにあります。
来年以降、さらに来場者が増えるのか、運営やアクセスはどう変わっていくのか。
観客としても、運営側としても、これからの日本GPは一つの転換期に入っているのかもしれません。
私自身も、来年また現地に行くのか、行くならどういう計画にするのか、この半年でじっくり考えたいと思います。
そしてこの記事が、これから日本GPを観戦しようとしている方の、少しでも参考になればうれしいです。
2026年F1日本GP現地観戦記事はこちらでまとめています。毎日更新しますので、ぜひご覧ください。
👉2026年F1日本GP現地観戦ログ特集|現地レポ・インプレッション・イベント情報
2026年F1日本GP現地観戦レポ





https://midorinomomendofu.com/motorsports-sports/trackside-report/f1-2026-rd3-japan-reflection-report/
関連リンク













コメント